ヌキ6

メジャーの撮影所は組合がしっかりしていて、労働時間は意外に正確であった。セット撮影の場合、朝9時開始、夕方5時に終わる。これが定時である。それを過ぎた残業は夕食1時間をいれて午後6時からとなる。ところが、撮影が5時では終わりそうもないが、6時までぶっ続けにやれば終わるだろうという時がある。
こんな時、夕食ヌキで6時まで仕事をすることを「ヌキ6」と言った。一方、夕食1時間を入れて8時まで残業することを「シャリ8」という。
言うまでもなくシャリとは米の飯のことである。撮影が夕方5時に近づいてまだ終わりそうもない時、製作主任やチーフ助監督は「ヌキ6」にすべきか「シャリ8」にすべきかおおいに迷ったものだ。
さらに6時半ぐらいで終わりそうなので、パンなどを差し入れて飯ヌキで強行しようという時もあり、これを「パンつなぎ」と呼んだ。「ヌキ6がパアでさ、結局パンつなぎよ」といった具合。

セッシュ

例えば、背の高い男優と背の低い女優を並べて撮影したりする時、画面の中で両者のバランスをとるために、女優の足の下に何かのカイモノをしたりすることがあった。
これは人物と小道具の間でもよく行われた。一方の足元に台のようなものを足して、背を高くすること、これをセッシュと呼んだ。「接身」という字をあて、またアメリカ映画初期の日本人スター早川雪舟にちなむものともいう。
セッシュには本や座布団などもよく使われた。交互にセッシュし続けて、とうとう引っくり返ってしまったなどという珍談もある。

ラッシュ

撮影を終わったがまだ完全な編集を加えず、未整理のままつないであるフィルムのこと。またそのフィルムを見ること。ロケやセットが終わって数日すると、スタッフ全員が試写室に集まって現像されてきたラッシュを見る。これをラッシュをするとも言う。
撮影が完了すると、フィルムを全部シナリオの順番につないで試写するが、これを「オール・ラッシュ」または「総ラッシュ」と言う。この試写には、会社の首脳部も立会い、内容や長さについていろいろな意見を出す。